交通事故の被害にあい、治療をしても顔などの目立つ部分に傷跡が残ってしまったという方は、どうしたら良いのでしょうか。
そのような場合には、まずは『後遺障害等級認定』を受けるべきです。
後遺障害等級認定を受けると、基本的には『後遺障害慰謝料』と『後遺障害逸失利益』が受け取れるようになります。
ですが、顔などの目立つ部分にけがをしたという後遺障害の場合、『後遺障害逸失利益』が受け取れないというケースがあります。
これはどういうことなのでしょうか?
今回は、顔などの目立つ部分に傷跡が残ってしまった際の
- 後遺障害等級の種類と概要
- 後遺障害逸失利益
- 弁護士に依頼するメリット
についてご説明します。
傷跡が残ってしまったときにすべきこと
まず、前提としてのお話ですが、顔などの目立つ部分にけがをして、治療をしても痕が残ったという場合には『後遺障害等級認定』を受ける必要があります。
後遺障害とは、症状固定(治療を継続しても、それ以上症状が改善されないこと)時において残った障害のうち後遺障害として等級認定を受けたものです。
後遺障害等級の種類
交通事故による後遺障害は、自動車損害賠償保障法施行令という政令によって、1~14級まで等級が定められています(一番重い等級が1級です)。
顔などの目立つ部分に傷痕が残ってしまった場合、どのような後遺障害等級があるのかご説明します。
(1)『外貌醜状』について
後遺障害の一つに『外貌醜状』という項目があります。
聞きなれない強烈な言葉ではありますが、『外貌』とは頭、顔、首など、日常露出する部分のうち、手足以外の部分を言います。
『醜状』とは、人目につく程度以上の傷跡などのことです。
要は、頭、顔、首などに人目につく程度以上の傷跡が残ってしまった、という場合です。
外貌醜状は、その醜状の程度によって、次のとおり後遺障害等級が分かれています(2010年6月10日以降に発生した事故の場合)。
後遺障害等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
第7級12号 | 外貌に著しい醜状を残すもの 〇頭部に残った手のひら大(指の部分は含まない)以上の瘢痕または頭蓋骨の手のひら大以上の欠損 〇顔面部に残った鶏卵大以上の瘢痕または10円硬貨大以上の組織陥没 〇頸部(=首)に残った手のひら大以上の瘢痕 |
第9級16号 | 外貌に相当程度の醜状を残すもの 〇顔面部に残った長さ5センチメートル以上の線状痕 |
第12級14号 | 外貌に醜状を残すもの 〇頭部に残った鶏卵大以上の瘢痕または頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損 〇顔面部に残った10円硬貨以上の瘢痕または長さ3センチメートル以上の線状痕 〇頸部に残った鶏卵大以上の瘢痕 |
(2)その他、身体に傷跡が残った場合の後遺障害について
また、外貌醜状には当たらないけれど手足の目立つ部分に傷跡が残ってしまった場合には、以下の後遺障害に認定される場合があります。
後遺障害等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
第14級4号 | 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの |
第14級5号 | 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとをのこすもの |
顔などの目立つ部分に傷跡が残ってしまった、という場合には、これらの後遺障害等級認定を受けることをお勧めします。
後遺障害等級認定によって受け取れるお金について
後遺障害等級が認定されると、通常『後遺障害慰謝料』と『後遺障害逸失利益』が受け取れるようになります。
『後遺障害慰謝料』とは、後遺障害が生じた肉体的・精神的苦痛を慰謝するために支払われるものですが、認定される後遺障害の等級によって金額は変わってきます。
また、『後遺障害逸失利益』とは、後遺障害が残ったために失ってしまう将来の収入分の損害で、こちらも認定される後遺障害の等級によって金額は変わってきます。
『外貌醜状』と『後遺障害逸失利益』について
後遺障害慰謝料も後遺障害逸失利益も、基準となる金額はあくまでも基準であって、事案ごとの個別の事情により増減はあります。
ただ、外貌醜状など目立つ部分に傷が残ってしまったという後遺障害(便宜上、「外貌醜状などの後遺障害」といいます。)については、そもそも「後遺障害逸失利益はない」と判断されることがあります。
すでに外貌醜状などの後遺障害等級認定を受けて相手方の任意保険会社と話合いをしているという方で、保険会社から「外貌醜状についての逸失利益を考慮しない」という提案をされたという方もいるのではありませんか?
保険会社が、外貌醜状などの後遺障害について逸失利益を認めないと主張することは少なくありません。
それはなぜなのでしょうか?
そもそも、逸失利益とは何なのか、今一度簡単にご説明します。
(1)そもそも逸失利益とは?
逸失利益とは、後遺障害のために失ってしまう、本来であれば得られたはずの将来分の収入です。
もともと、後遺障害逸失利益は各損害賠償の項目の中で最も高額になることが多い損害です。
それは、後遺障害逸失利益というものが、労働が可能な(と考えられる)年齢までの全期間にわたって労働能力が低下するという前提で計算されるからです。
被害者の年齢が若い場合や、事故前の収入が高い場合には、逸失利益は優に数千万円を超えます。
ただ、逸失利益はあくまでも後遺障害によって失ってしまう将来分の収入ですから、原則として「後遺障害によって収入が減る」、つまり「後遺障害を原因とする労働能力の低下」がないといけません。
と言うのは、交通事故による後遺障害が残っても、事故前と同じレベルで問題なく働ける(=労働能力の低下がない)のであれば収入が減ることもなく、そこに損害はない(=逸失利益はない)ということになるからです。
外貌醜状などの後遺障害は、通常は手足などの可動や判断能力には影響がないことが多いでしょう。
極端な例ですが、事故前から一切人と接触しない状況で仕事をしている人にとって、事故で顔にけがをしたとしても、事故後も事故前と同じ状況で同じ仕事ができるのであれば、顔のけがは仕事の出来には関係なく、けがによって失った収入はないと言えるでしょう。
このように、外貌醜状などの後遺障害は必ずしも労働能力の低下とは直結せず、よって、逸失利益が認められないおそれのある類型だということに注意が必要です。
ですから、保険会社が「逸失利益を考慮しない」と言うのは、被害者の外貌醜状などの後遺障害について、それによる労働能力の低下はないと判断しているということです。
ただし、後でご紹介しますが、実際の裁判の事例では、外貌醜状などの後遺障害について、一切逸失利益を認めないとは言っていません。
外貌醜状などの後遺障害についても労働能力の低下を認める事案は多々ありますので、それは後でご説明します。
(2)『外貌醜状』と『労働能力喪失率』について
ところで、後遺障害によって労働能力が低下したといえる場合には、次に、どの程度低下したのかという「労働能力喪失率」の問題があります。
例えば、事故前の労働能力を100として、後遺症の影響により、70まで減ってしまったという時は、労働能力喪失率は30%ということになります。
労働能力喪失率は、かつての労働省(現:厚生労働省)が後遺障害の等級ごとに以下の割合を定めています。
労働能力喪失率表
障害等級 | 額 | 障害等級 | 額 |
---|---|---|---|
第1級 | 100/100 | 第8級 | 45/100 |
第2級 | 100/100 | 第9級 | 35/100 |
第3級 | 100/100 | 第10級 | 27/100 |
第4級 | 92/100 | 第11級 | 20/100 |
第5級 | 79/100 | 第12級 | 14/100 |
第6級 | 67/100 | 第13級 | 9/100 |
第7級 | 56/100 | 第14級 | 5/100 |
この表によれば、例えば、第7級に該当する後遺障害等級認定を受けた、という場合には56パーセント分の労働能力が喪失した、として逸失利益が計算されるはずです。
ところが、外貌醜状などの後遺障害の場合、上記の等級どおりの労働能力喪失率にはならないことが多いのです。
これは、外貌醜状などの後遺障害については、労働能力の低下が認められたとしたとしても、そこまでの低下率ではないと考えられるからです。
例えば、外貌に著しい醜状を残すものは第7級12号に該当しますが、同じ第7級の「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」(第7級4号)という後遺障害などと比較して、あくまでも労働能力の低下という観点からは、それらと同列には扱えない(顔などにけがをしたとしても、そこまで労働能力自体は落ちていないでしょう、ということです)と評価されるということです。
ですから、外貌醜状などの後遺障害について逸失利益が認められるかという問題は、まず「労働能力の低下があるか」という第1のハードルがあり、それをクリアしたとしても、さらに「労働能力喪失率はそこまで高くはないのではないか」という第2のハードルがあるということに注意が必要です。
これは、外貌醜状などの後遺障害を負った人にしてみれば、到底納得できない話かと思います。
現代社会において、一切、他人と接触することなく働いているという人は極めてまれでしょう。
コミュニケーション力が重視される現代社会で働くには、多かれ少なかれ他人とコミュニケーションをとって円満な対人関係を築くことが不可欠です。
そして、他人とコミュニケーションを取る上で、外貌は非常に大きな役割を果たします。
外貌醜状などの後遺障害の残った方で、保険会社から「労働能力には問題はないから、逸失利益はない」と言われて怒りを覚えない方はいないでしょう。
それでは、裁判所は外貌醜状などの後遺障害について、どのような場合に逸失利益を認めているのか、実際の裁判例をご説明します。
(3)一般的な後遺障害に関する最高裁判所の判断について
まず、一般的な後遺障害と労働能力の関係についての最高裁判所の判例をみてみましょう。
判例では、次の場合には、『特段の事情』がない限り、「労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害は認められない」と判断されています。
- 後遺症の程度が軽微
- 従事する職業の性質から、現在又は将来の収入の減少がない
ただし、次の場合は、財産上の損害がある(=損害賠償の余地がある)と判断しています。
- 本人の特別の努力によって、事故の前後で収入が変わっていないこと
- そのような要因がなければ収入は減少していたであろうこと
- 労働能力の喪失の程度が軽微であっても、昇給、昇任、転職などに際して不利益な扱いをうけるおそれがある
この判例によれば、事故の後で減収がなかったとしても、それが本人の特別の努力の賜物である場合や、その時点で減収がないとしても将来転職する際に後遺障害が不利益にはたらくような場合などの事情があれば、そのような個別の事情も逸失利益の判断に際して考慮される、ということになります。
参考:最高裁第二小法廷判決昭和42年11月10日│裁判所 – Courts in Japan
(4)外貌醜状に関する実際の裁判例のご紹介
それでは、外貌醜状の後遺障害に関する実際の裁判ではどのような判断がされているのでしょう。
かつてはホステスやモデルなど、その外貌が収入に大きな影響を及ぼす職業に限定して逸失利益が認められる傾向がありましたが、現在ではより広く認められています。
ただ、減収がない場合に外貌醜状を根拠に逸失利益を認めるかどうか、裁判所により、かなり判断が分かれています。
まずは、逸失利益を認めた裁判例をいくつかご紹介しましょう。
※12級15号等、現在は存在しない後遺障害等級となっているのは、男女の別で後遺障害等級が異なっていた当時(2010年6月9日以前に発生した事故の場合)の等級になります。
これらの裁判例は、外貌醜状を理由に逸失利益を認めた例です。
労働能力喪失率については、労働省(現:厚生労働省)の基準のままに認められたケースもありますが、それより少なく認定されるケースが多いようです。
また、労働能力喪失期間についても、通常の後遺障害と比較して短縮されているケースも見受けられます。
これに対して、外貌醜状による逸失利益が認められないと判断した裁判例も多く存在しますので、いくつかご紹介しましょう。
これらは、外貌醜状による逸失利益を否定した裁判例です。
実際の裁判における裁判所の判断には、かなりの幅があるのがお分かりになるかと思います。
それでは、実際に外貌醜状などの後遺障害を負われた方は、逸失利益との関係をどのように考えたらよいでしょうか。
(5)逸失利益が認められるためのポイントについて
逸失利益が認められるためのポイントがあります。
場合ごとに分けて、これらのポイントについてご説明します。
(5-1)交通事故前後を通じて勤務先に変更はなく、減収もない場合
このような場合に逸失利益が認められるかどうかは、次の事情などを総合的に検討してみる必要があります。
【醜状の内容と程度】
- 身体的・運動能力的に支障はあるか
- どの程度人目につくのか
- 目立つものかどうか(遠目でも判別できるのか)
- 化粧や髪型等によってある程度目立たなくできるか
【現在の職業の内容】
- 対人関係が重視される職種か
- 業務上、円滑な対人関係の構築が必要か
【業務への支障の有無】
- 本来支障があるところを、本人が特別の努力をしているか
【昇進、昇給等における不利益の有無】
- 今後の昇進・昇給に影響があるか(事故がなかった場合と同じように昇進・昇給ができるか)
【将来の転職可能性】
- 現在の勤務先の存続可能性(経営基盤は盤石か)
- リストラの可能性の有無
- 定年退職後の再雇用・再就職への影響の有無
【収入の減少がないことについて本人の努力の有無】
(5-2)近い将来、就職する予定であった場合
交通事故当時、職に就いていなかったとしても、それが一時的なものであったり、大学生等でいずれ就労予定であったという場合には、基本的には、上記でご説明したポイントを考えてみれば良いでしょう。
もっとも、この場合には、今後、広く職業を選択できるという意味で、次の事情がどの程度具体的であったか、という点も加えて考えることになるでしょう。
- 外貌が収入に大きく影響する職業に就く可能性
- 対人関係が重視される職種に就く可能性
実際の裁判では、事故後に希望する職業に就いていたケースについて、逸失利益を認めなかった例もあります。
(5-3)専業主婦(主夫)・家事従事者の場合
一般的に、後遺障害によって労働能力が低下した場合、交通事故当時、専業主婦(主夫)・家事従事者であっても、本来は、原則として全年齢の平均賃金を基礎収入として労働能力喪失率に応じた逸失利益を受け取れます。
ただ、外貌醜状などの後遺障害のケースについては、実際の裁判では、外貌醜状などの後遺障害は、家事労働能力には影響は及ぼさないとして、残念ながら逸失利益を否定する傾向が強いです。
さらに、現時点では専業主婦(主夫)だけれどいずれは接客業に就きたい、という希望があったとしても、具体的な就職予定がなく、その希望があくまでも主観的なものにとどまる場合にはやはり外貌醜状などの後遺障害による逸失利益は否定されたというケースもあります。
ですから、事故当時、専業主婦(主夫)・家事従事者であった場合には、今後、就職する可能性が具体的にあったという場合でなければ、他の職業に比べて逸失利益が認められない可能性が高いと言えます(もちろん、後遺障害の内容・程度によっては、家事労働に影響がある場合もあり得ますので、そのような場合には逸失利益が認められる余地があるでしょう)。
ただし、上記でご紹介した裁判例のように、専業主婦(主夫)や家事従事者について一定限度で逸失利益を認めた例もありますので、専業主婦(主夫)や家事従事者だからと言って、一律に逸失利益が認められないわけではありません。
先にご紹介した裁判例は、いずれも外貌醜状に加えて他の後遺障害があったケースですが、個別の事案においても、外貌醜状以外の後遺障害と併せて逸失利益が認められる可能性は十分にあるといえるでしょう。
(5-4)被害者が年少者(18歳未満)の場合
一般的に、後遺障害によって労働能力が低下した場合、交通事故当時、被害者が年少者でまだ就職前であっても、原則として、全年齢の平均賃金を基礎収入とした逸失利益を受け取れます。
ただ、外貌醜状などの後遺障害については、被害者が中高校生以上で、ある程度就きたい職業が具体的であるという場合はともかく、小学生以下(又は未就学児)などのケースでは、将来的にどのような職業に就くか全く未知数なことも多く、その後遺障害が将来の労働能力にどの程度影響を及ぼすのかよくわかりません。
実際の裁判では、被害者が小学生以下という場合、次の事情などから、比較的広く逸失利益を認めた裁判例もあります(ただし、労働能力喪失率や喪失期間は基準よりも低くなっています)。
- 今後の職業選択・就業において不利益な扱いを受ける可能性
- 職業について自由に選択することができない可能性
他方で、被害者が小学生以下の場合逸失利益を認めなかった裁判例もありますので、まさにケースバイケースとしか言いようがありません。
そこで、被害者が小学生以下、という場合には、後遺障害の内容・程度から、次の事情を考慮して、将来の職業選択の際の不利益を推測せざるを得ないでしょう。
- 後遺障害によって日常生活にどのような影響が現に生じているか(プールや公衆浴場を嫌がる、傷を見られるのを嫌がるなど)
- 現に生じている影響が、将来の職業選択に及ぶか
- 影響が及ぶとして、それはどの程度か
(6)後遺障害逸失利益が認められない場合の後遺障害慰謝料
これまで、外貌醜状などの後遺障害については逸失利益が認められない裁判例もあるとお話ししてきましたが、逸失利益を認めない裁判例であっても、その分は『後遺障害慰謝料』を増額するという調整をしている事例が多く見られます。
百歩譲って、外貌醜状などの後遺障害が最低限の仕事をする上で支障はないとしても、他人とコミュニケーションを取りながら日常生活を送る上で非常に障害となることに誰も異論はないでしょう。
外貌が人生の幸福度に大きく影響しているという研究もありますし、特に年少者の外貌醜状は、その後の人格形成にも多大な影響を与えると言えます。
外貌醜状などの後遺障害による逸失利益が認められないとしても(又はかなり減額されるとしても)、その筆舌に尽くしがたい苦痛は後遺障害慰謝料にしっかり反映させるべきでしょう。
弁護士に依頼するメリットについて
交通事故にあい、顔などの目立つ部分にけがをして治療中という方や、すでに治療は終了して後遺障害等級認定を受けて保険会社と話合いをしているという方に、今後の手続きについて弁護士に依頼するメリットを簡単にお話します。
(1)受け取れる損害賠償額が増える可能性がある
交通事故にあってけがをした場合には、治療に関する損害・休業に関する損害・入通院に関する損害、など様々な損害が発生します。
通常、症状が固定して後遺障害等級認定まで終了すると、最終的な損害賠償額について相手方の保険会社と示談の話合いをすることになりますが、弁護士が代理人となることによって、最終的な賠償額が増額される可能性があります。
しかも、外貌醜状などの後遺障害については、保険会社からは「逸失利益については考慮しない」という提案がなされることが少なくありません。
これまでご説明したとおり、外貌醜状などの後遺障害についても逸失利益を認める裁判も多数ありますので、弁護士に依頼すればそれらの裁判結果を踏まえた交渉が可能です。
(2)弁護士によるサポートが期待できる
外貌醜状などの後遺障害は、その等級認定の申請にあたり、傷跡などが体のどの部位にどの程度残っているのかが非常に重要になります。
ところが、傷跡などが複数ある場合、申請に際して提出する「後遺障害診断書」に、その一部について記載が漏れていることがあります。
「後遺障害診断書」は医師に記載してもらう書面ですが、記載漏れのある理由はさておき、そのような場合には、改めて医師に後遺障害診断書を書いてもらわなければ適当な後遺障害等級を認定してもらえないおそれがあります。
弁護士に依頼した場合には、後遺障害診断書の訂正の必要性の判断や医師への依頼について任せることができます。
また、外貌醜状などの後遺障害の等級認定については、調査にあたっている保険料率算出機構が被害者の面談を求めることがありますが、面談に際しても弁護士が付き添った上で、適切なサポートを受けることが可能です。
(3)弁護士費用特約を確認してみてください
弁護士に依頼すると費用が心配という方は、契約している保険の特約を確認してみてください。
保険によっては、加害者の保険会社との話合いなどを弁護士に依頼した場合にはその費用を負担するという、『弁護士費用特約』が付いていることがあります(ご自身が加入している自動車保険だけでなく、ご家族名義の保険や火災保険など別の保険についていることもあるので注意が必要です)。
このような場合には、限度額はありますが、原則として弁護士費用は保険会社が負担しますので、ぜひ、特約を利用して弁護士に依頼することをお勧めします。
また、弁護士費用特約が利用できないとしても、弁護士が交渉することにより、示談金額が増額される可能性がありますので、まずは、一度、弁護士に相談されることをお勧めします。
【まとめ】顔に傷が残っても、後遺障害逸失利益がもらえる場合ともらえない場合がある
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 通常、後遺障害等級認定を受けると、『後遺障害慰謝料』と『後遺障害逸失利益』を受け取ることができる
- しかし、外貌醜状などの後遺障害については、現実の減収がない場合『後遺障害逸失利益』が認められない場合がある
- 『後遺障害逸失利益』が認められたとしても、通常の後遺障害の事例に比較して、金額が低くなる可能性がある
- 減収がない時に『後遺障害逸失利益』が認められるかどうかは、次の事情などから判断される
後遺障害の内容と程度
現在の職種の内容
昇進、昇給等における不利益の有無
業務への支障の有無
将来の転職可能性
減収がないことについての本人の努力の有無
- 事故当時働いていなかったとしても、今後、対人関係が重視される職に就く可能性などを考慮して、逸失利益が認められる可能性がある
- 専業主婦(主夫)・家事従事者の場合には、逸失利益が認められない傾向があるが、一定限度で認められるケースもある
- 小学生以下であっても、逸失利益が認められる可能性がある
- 弁護士に依頼した場合には、適切なサポートを受けられる上、最終的に受け取れる賠償額が増額される可能性がある
- 契約している保険に『弁護士特約』が付いている場合には、基本的には弁護士費用は保険会社が負担するため、弁護士に依頼する費用は心配しなくても良い
交通事故被害にあって外貌醜状の後遺障害が残り、賠償金請求のことでお悩みの方は、アディーレ法律事務所までご相談ください。
弁護士は敷居が高く,相談するのは気後れすると感じられている方も多いのではないでしょうか。私もそのようなイメージを抱いていました。しかし,そのようなことはありません。弁護士は皆,困った方々の手助けをしたいと考えております。弁護士に相談することが紛争解決のための第一歩です。ぜひ気軽に弁護士に相談してみてください。私も弁護士として皆さまのお悩みの解決のために全力を尽くします。